結婚の形式にこだわらず、パートナーとの関係を自由に築きたいと考えているあなた。
「事実婚」という選択肢は、魅力的に映るかもしれません。
しかし、事実婚には法律婚とは異なる側面があり、メリットだけでなく、注意すべきデメリットも存在します。
将来のパートナーとの関係を築く上で、最適な選択をするためには、事実婚のメリットとデメリット、そして法律婚との違いを理解することが不可欠です。
この記事では、事実婚を選択する際のメリットとデメリットを具体的に解説することで、あなたが将来のパートナーとの関係を築く上で最適な選択をするための指針となる情報提供をしていきます。
□事実婚とは？
事実婚は、婚姻届を提出せずに夫婦として生活する状態を指します。
つまり、法律上は結婚していなくても、互いに夫婦と認識し、共同生活を営むことで、事実婚が成立するとされています。
1: 法律婚との違い
法律婚は、婚姻届を提出することで成立し、法律的に夫婦と認められます。
一方、事実婚は法律上の夫婦関係は成立しません。
そのため、法律婚に比べて、法律的な保護や権利が限定される点は理解しておきましょう。
2: 同棲との違い
同棲は、単に一緒に住んでいるだけの状態です。
事実婚は、同棲とは異なり、互いに夫婦と認識し、社会的に夫婦として認められている状態であることが重要です。
3: 事実婚が成立するための要件
事実婚が成立するためには、以下の3つの要件を満たす必要があるとされています。
・夫婦としての意思表示：互いに夫婦であることを意思表示していること。
・共同生活：実際に夫婦として共同生活を営んでいること。
・社会的な夫婦としての認知：周囲の人々から夫婦として認識されていること。
これらの要件を満たしていれば、たとえ婚姻届を提出していなくても、事実婚と認められる可能性があります。
□事実婚のメリットとデメリット
事実婚には、法律婚にはない独自のメリットが存在する一方で、デメリットも無視できません。
事実婚を選択する際には、これらのメリットとデメリットを比較検討し、自分にとって最適な選択かどうかを判断する必要があります。
1: メリット
事実婚のメリットは、大きく以下の3つに分けられます。
1: 改姓の必要がない
法律婚では、婚姻届の提出と同時に、どちらかの姓を選択する必要があります。
しかし、事実婚では、改姓の義務がないため、自分の姓を維持することができます。
結婚後も自分の姓でいたいと考えている人にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。
2: 戸籍に影響しない
法律婚では、婚姻届の提出により、戸籍に婚姻の記録が記載されます。
しかし、事実婚では、戸籍に影響を与えることはありません。
そのため、結婚後も戸籍上の関係を維持したい人や、家族に結婚を知らせたくない人にとっては、メリットとなります。
3: 相手の家族との関係を自由に築ける
法律婚では、結婚することで、相手の家族との関係も深まります。
しかし、事実婚では、相手の家族との付き合い方を自由に決めることができます。
結婚によって相手の家族との関係に負担を感じている人にとっては、メリットと言えるでしょう。
2: デメリット
事実婚のデメリットは、大きく以下の3つに分けられます。
1: 相続権がない
法律婚では、配偶者は相続権を持つため、遺産を相続することができます。
しかし、事実婚では、相続権がないため、遺産を相続することはできません。
パートナーとの間で財産分与などの取り決めをしていない場合は、特に注意が必要です。
2: 税金上の優遇措置を受けられない
法律婚では、配偶者控除などの税金上の優遇措置を受けることができます。
しかし、事実婚では、これらの優遇措置を受けることはできません。
そのため、税金面での負担が大きくなる可能性があります。
3: 夫婦関係の証明が難しい
法律婚では、婚姻届が夫婦関係の証明となります。
しかし、事実婚では、夫婦関係を証明する書類がありません。
そのため、賃貸契約や保険契約などの際に、夫婦関係の証明を求められる場合があり、手続きが複雑になる可能性があります。
□事実婚を選ぶ前に話し合っておくべきこと
事実婚を選択する際には、メリットだけでなく、デメリットも理解した上で、パートナーと話し合い、将来的な生活設計をしっかりと立てておくことが重要です。
特に、以下の4つの点については、事前に話し合っておくべきです。
1: 将来的な生活設計
事実婚は、法律婚と比べて法的保護が少なく、将来的な生活設計をしっかりとしておく必要があります。
1: 財産分与
事実婚では、法律婚と比べて、財産分与に関する法律的な根拠が弱いため、パートナーとの間で、財産分与に関する明確な取り決めをしておくことが重要です。
2: 共同生活費
共同生活費の負担割合や支払い方法などについて、明確なルールを決めておくことが大切です。
3: 住宅
事実婚では、法律婚と比べて、住宅に関する法的保護が弱いため、賃貸契約や住宅購入などについて、事前にしっかりと話し合っておく必要があります。
2: 子どもについて
事実婚で子どもをもうける場合は、子どもの親権や養育費、教育費などについて、事前にしっかりと話し合っておく必要があります。
1: 認知
事実婚の場合、子どもの父親は法律上の父親とは認められません。
そのため、父親が子どもの親権者となるためには、認知の手続きを行う必要があります。
2: 養育費
子どもの養育費の負担割合や支払い方法などについて、事前に明確なルールを決めておくことが大切です。
3: 遺産相続
事実婚では、法律婚と比べて、相続権がないため、遺産相続に関する明確な取り決めをしておく必要があります。
1: 遺言書
遺言書を作成しておくことで、自分の意思を明確に伝えることができます。
2: 相続放棄
パートナーが亡くなった場合、相続放棄の手続きをすることも可能です。
4: 将来的に法律婚に移行するか
将来、法律婚に移行する可能性があるのかどうか、事前に話し合っておくことが大切です。
1: 法律婚に移行するメリットとデメリット
法律婚に移行することで、相続権や税金上の優遇措置など、様々なメリットがあります。
しかし、一方で、改姓の義務や相手の家族との関係が深まるなど、デメリットもあります。
2: 法律婚に移行するタイミング
法律婚に移行するタイミングは、それぞれの状況によって異なります。
子どもをもうける予定がある場合や、税金上のメリットを享受したい場合は、法律婚に移行することを検討する必要があるでしょう。
□まとめ
事実婚は、法律婚と比べて、自由度が高く、個人の価値観を尊重できる関係を築くことができる一方で、法的保護が少なく、注意すべきデメリットも存在します。
事実婚を選択する際には、メリットとデメリットを理解した上で、パートナーとしっかりと話し合い、将来的な生活設計を立てることが重要です。
特に、財産分与、共同生活費、住宅、子ども、遺産相続、法律婚への移行などについては、事前に話し合っておくことをおすすめします。
事実婚は、法律婚と比べて、柔軟性が高く、多様な価値観を受け入れることができる関係と言えるでしょう。
しかし、その一方で、リスクも伴うため、慎重に検討することが大切です。
この記事が、あなたにとって、将来のパートナーとの関係を築く上で最適な選択をするための指針となれば幸いです。
