現在は、事実婚を選択する人も増えています。
結婚を控えている方の中にも、籍を入れようか、事実婚にしようかを悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、籍を入れることと事実婚の違いや、籍を入れなかったときのメリットとデメリットをご紹介し、籍を入れたらどうなるのか、籍を入れる前後の手続きを解説します。

□籍を入れるとどうなる?事実婚との違い
*籍を入れるとは?
籍を入れるとは結婚することであると一般的にはされています。
しかし、厳密にいうと籍を入れるとは、離婚して子どもの氏を父親から母親に変更したり、再婚するときの子どもの籍を変更したりすることをいうため、結婚することとは少し異なります。
ちなみに結婚することは、婚姻届を提出した2人の戸籍が新たにつくられることを指します。
本来の「籍を入れる」という意味は以上のとおりですが、一般的には、結婚すると女性が男性の性を名乗るようになることから男性の戸籍に入るイメージをもち、「籍を入れる」=結結婚するとされています。
*籍を入れることと事実婚の違い
事実婚とは、同じ戸籍に入らずに夫婦生活をすることをいいます。
婚姻届けを提出することで婚姻が成立すると定められているため、法律上では夫婦と認められません。
しかし、結婚式や結婚報告を周囲にしたり、住民票での世帯主との続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」としたり、婚姻の意志を記載した公正証書を作成したりすることで、事実婚が認められます。
認められれば、籍を入れた場合と同じ生活が過ごせますし、扶養に入ることもできます。
籍を入れたときと変わらないと感じるかもしれませんが、事実婚にはメリットもあればデメリットもあるため、ご紹介します。
・事実婚のメリット
1.夫婦別姓にできる
籍を入れるときは婚姻届に男性と女性のどちらの姓にするのかを決める必要がありますが、婚姻届を提出しない事実婚の場合は、姓を決める必要がありません。
姓を変えなくて良いため、夫婦別姓を実現できます。
2.名義変更の手続きがいらない
姓を変えずに済むため、運転免許証やマイナンバーカード、銀行口座などの名義変更を行う必要がありません。
結婚後の負担を大きく減らせます。
・事実婚のデメリット
1.いざという時に手続きに時間がかかるかもしれない
どちらか一方が入院したり、手術したりするときに、書類にサインするような代理手続きができないかもしれません。
代理手続きをするのにも、夫婦関係を証明する書類を準備しなければならないこともあり、時間がかかります。
2.家族関係の証明が困難になる
住民票での世帯主との続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」とすれば家族関係を証明できますが、していない場合は家族関係の証明が困難になります。
3.子どもの親権が母親になる
婚姻届を提出している場合は、子どもの親権は夫婦2人でもてますが、籍を入れていない場合は親権が自動的に母親のみになります。
□籍を入れなかったらどうなる?
籍を入れなかったら、上記に示した事実婚のデメリットのようになります。
上記以外にもいくつか問題があるため、ご紹介します。
・周囲の人に理解してもらえない
事実婚を選択する人は増えてはいるものの、全体的にみるとまだ少ないため、籍を入れないことを理解してもらえないこともあるかもしれません。
なぜ、籍を入れないのかという理由を話せるようにしておくと周囲の理解が得やすくなるでしょう。
・控除が受けられない
婚姻届を提出していれば、配偶者控除や扶養控除のような税負担が軽減される制度がありますが、籍を入れていないとこの制度を受けられません。
多くの場合、支払う税金が万単位で変わるため、この控除の影響は大きいでしょう。
・相続権がない
籍を入れていなければ、相手に遺産を相続することができません。
財産を残したい場合は、遺言書が必要です。
また、相続税は入籍していれば軽減してもらえることがありますが、入籍していなければ税金の軽減はされないことに加えて、相続税の2割加算の対象にもなります。
・子どもができたら父親は認知しなければならない
先ほども述べたように、籍を入れていない状態で子どもができると、子どもの親権は母親のみです。
男性は、法的に子どもの父親になるために、認知をしなければなりません。
□籍を入れる前後の手続きとは?
籍を入れるときは以下の手続きをします。
・転出届、転入届、転居届の提出
・印鑑登録
・住民票、婚姻届受理証明書の取得
・公的医療関連の手続き
・自動車関連の手続き
・運転免許証やパスポートの変更手続き
・銀行口座やクレジットカードの変更手続き
・会社関連の手続き
・会員登録系の手続き

□まとめ
籍を入れない、事実婚の場合はいざという時に夫婦関係を証明しにくかったり、子どもが生まれたときに父親に認知が必要だったり、税金の控除が受けられなかったりします。
しかし、籍を入れなかったら、夫婦別姓を実現できますし、さまざまな名義変更の手続きも必要ありません。
籍を入れるのも入れないのも、メリットとデメリットがあるため、よく検討して決めることをおすすめします。








